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快便こそ幸せ。

あまりにもエキセントリックなアイドルたち

欅坂46『エキセントリック』のフルMVが公開された。

 

初めてMVを見たとき、息がつまりそうな心地がした。

 

とてもではないが「可愛い」という言葉で形容できる代物ではない。

それはあまりにもグロテスクだった。

 

教室で靴を振り回すシーンなんて完全に狂気じみている。

 

まるでゾンビのように無表情でゆっさゆっさと身体を揺さぶるアイドルたち。

彼女らの「人間らしさ」は『サイレントマジョリティ』、『不協和音』、『エキセントリック』と、順を追うごとに徐々に剥奪されて行くように思われる。

 

サイレントマジョリティ』、『不協和音』そして『エキセントリック』。

この三者に通底するのは「反体制」の色である。

しかし、同じ反体制派の曲の中でも『エキセントリック』は「グロテスクさ」において群を抜いている。

 

わかってもらおうなんてムリなんだ

 

この歌詞が象徴するように、『エキセントリック』では社会と自分との間に存在する隔たりを認め、諦めている。

 

前者二曲で表明された必死な社会への抵抗はまだ、社会への期待を持つ言葉で溢れていた。「声をあげれば社会は変えられる」という期待の篭った言葉だった。

 

一方で『エキセントリック』という曲に終始漂うのは無力感、虚無感、絶望感である。

闘いを挑み、敗北した後のアナーキーな感情。

ヤケクソになって酔いしれた末に出てきた言葉が「アイ・アム・エキセントリック」なのではないだろうか。

 

変わり者で良い

と、欅坂46は、秋元康は、あまりにもヒステリックに「変わり者」を排除する社会に提唱した。 

彼女らの骨太で狂気じみたパフォーマンスは、現代人の心にどのくらい刺さっていくのだろう。

 

あまりにも斬新でエキセントリックなアイドルたち。

いつの時代も目を惹き心を奪うのは「変わり者」である奴らなのだと思う。